1. コルラインとは

コルラインとは、工場、下水・汚水等から発生する硫化水素を除去する乾式フィルターと装置で、「業務用脱硫・空気脱臭装置、業務用脱硫・空気脱臭装置用のフィルター」として商標登録されている商品になります。
ガスが発生している現場ごとに合わせたガス吸着フィルター「コルライン」を設置するのことで、高い脱硫能力を発揮します。
また、簡単な構造のため、工場や公共施設などの多種多様な分野でご活用いただいています。

2. 吸着原理

「コルライン」は酸化鉄の反応により硫化水素を吸着します。

酸化鉄の反応

コルラインの表面では

1.酸化鉄が硫化水素と反応し硫化鉄になります。

2.硫化鉄が酸素と反応し酸化鉄と硫黄になります。

このような反応が起こっています。

酸化鉄が再生されるので、長寿命を達成します。

3.形状

「コルライン」はコルゲートハニカム構造の基材に酸化鉄を主成分とする吸着材を含浸させて作られています。
酸化鉄を主成分とする硫化水素除去剤は多くありますが、ハニカム状の基材に含浸させたものは他にはありません。

コルゲートハニカム形状

コルゲートとは「波打った」という意味で、コルゲート状の部材で構成するハニカム形状を「コルゲートハニカム形状」といっています。

近くにあるものでいうと段ボールをイメージしてもらえれば良いと思います。
1枚だと図のような形状です。

これを重ねてできる立体が「コルゲートハニカム形状」です。

気体が隙間を通り抜ける際に、壁に当たることで化学反応と物理的吸着が発生します。
コルゲートハニカム構造の一番の特徴としては「圧力損失」が少ないことです。

「コルライン」は、ハニカム構造の基材が効率よく化学的・物理的吸着を行います。
低濃度から高濃度の硫化水素除去に効果を発揮します。

※性能は条件により変化しますので、詳細はお問い合わせください。

フィルター形状

フィルターの形状は丸形/角形の2つがあります。
先に説明した、段ボールのようなコルゲート状の基材を 丸形は基材を丸めて製作、角形は基材を重ね製作します。

基材は切断が容易なので、お客様の条件に合わせ、任意のサイズに成形可能です。

製作可能サイズ

丸形外径 φ50~600高さ250/220
角形縦120~750横120~750高さ250/220

これら以外のサイズでも、一度お問い合わせください。

4.性能

コルラインは硫化水素の吸着性能を高めており、低濃度から高濃度までの除去に優れた効果を発揮します。
条件によっては99.9%以上の除去が可能です。

脱硫性能試験(破過試験)

カラムにコルラインを詰め、その上流から硫化水素を流し、フィルタ通過後の硫化水を測定しました。

実験条件

源ガス濃度400ppm
フィルター仕様SC-05MN
比較対象破砕活性炭(同一体積)
SV値5976

90%破過までの寿命は約2倍

脱硫性能試験(循環型)

気密性を高めたボックス内に硫化水素を充満させ、濃度ムラが無いように対流させて、ボックス内の濃度を測定しました。
気密性が高い環境では高い性能を発揮します。

※密閉した空間に硫化水素を充満させ、循環型脱硫装置を稼働させ、硫化水素の減少状態を確認

標準型脱硫装置 制御盤用 PK-miniC

実験条件

試験容積0.85㎥
処理風量1.9㎥/min
フィルター仕様SC-05MN φ180x125
初期濃度1500ppb(1.5ppm)

14分で0.003ppm以下に

標準型脱硫装置 室内用 F80-L

実験条件

試験容積41.5㎥
処理風量10.5㎥/min
フィルター仕様SC-06HK φ452x250 2個
初期濃度60ppb(0.06ppm)

50分で0.003ppm以下に

性能試験(循環型 長期試験)

排水処理設備付近に設置の密閉盤 600x500x200 で1カ月 金属片の腐食度を比較する。
盤の扉は 2回/週 ごとに1度開閉する

蛍光X線分析による定量検査では 密閉盤内と密閉盤+コルラインを比較し、硫化水素濃度が1/10以下に 硫化腐食速度が1/4以下に改善された。

銅片による腐食の観察では 盤外設置は4日で真っ黒 密閉盤内も1カ月で真っ黒に変色していた。しかし、密閉盤+コルラインでは僅かな色の変化にとどまった。

いずれにおいてもコルラインの効果を観察できる。

圧力損失試験

コルラインはハニカム構造なので、圧力損失が低く、ブロワーへの負荷を軽減できます。

・硫化水素除去用フィルターSC-05MN
・硫化水素除去+臭気対策用フィルターSC-06HK

活性炭ペレットなどと比較してみてください。
コルラインの圧力損失の低さかが判ります。

お客様の使用条件により計算いたしますので、お問い合わせください。

5.用途

コルラインは主な用途として電子機器腐食対策、臭気対策、硫化水素除去・除害としてお使いいただいていいます。

使用場所

1.工場の場合製造施設・化学処理設備・排水処理設備・研究施設・その他
2.汚水・下水処理場の場合下水・汚水・農業集落排水・し尿・水再生などの施設や処理場およびバキューム車等
3.電子機器・部品の腐食防止温泉(火山)地の通信中継局や工場などの電気室他
4.コルラインを仮設として使う汚水・排水処理施設などのメンテナンス時など
5.その他ゴミ処理施設や埋立処分場の脱硫および脱臭・バイオ関係の脱硫・研究施設のガス処理・福祉施設の汚臭対策 他

主な用途

電子機器腐食対策

電子機器は極低濃度でも腐食し、故障に至る場合があります。
人の鼻で臭いを感じはじめる0.03ppm以下でも腐食の原因となります。精密機器では1桁小さい0.003ppmを下回るようにすることを推奨する場合があります。

私たちの脱硫装置は「循環型」と「ワンパス型」2タイプがあり、合わせて使うことで、循環型のみでは対応できない、周辺濃度が高い場所でも使用することができます。

石油製品取扱い工場・製油所・ガス製造所・製紙工場・繊維工場・化学薬品工場・廃水処理施設・各種発電所・温泉地の通信中継局 その他でお使いいただいています。

臭気対策

人が一番低濃度でもわかる硫化水素の影響が「臭い」です。

硫化水素は0.03ppm(30ppb)程度でも臭いを感じ、3~5ppmでは不快に思うレベルになります。

硫化水素は悪臭防止法の対象物質になっており、0.02~0.2ppm※で規制の対象になっています。
※地域によって濃度が設定されています。

硫化水素除去・除害

硫化水素は濃度によっては人に害を与えます。

20ppm程度で、肺の刺激症状が発現し、50ppm程度では 角膜の表面が侵され、視野が不明瞭になるなどが起こります。

発生した硫化水素は適切に処理をおこなうことが必要です。

6. 使い方

「コルライン」は乾式フィルターなので、使い方はフィルターにガスを流すだけ。
風量とフィルター容量を調整することで多くの場所で簡単に使えます。

乾式フィルターなので、スクラバーのような薬液管理不要。
交換もフィルターを換えるだけです。

循環型

密閉空間での硫化水素除去には「循環型」をお勧めします。

何度もフィルターに硫化水素を通すことで、硫化水素濃度を徐々に下げていきます。

ワンパス型

一度で硫化水素を除去する場合は「ワンパス型」をお勧めします。

大容量のフィルターを使うことで、一度フィルターを通すだけで、一気に濃度を下げます。

7.仕様

コルラインの仕様

コルラインには酸化鉄による硫化水素除去機能に特化した「SC-05MN」と活性炭と酸化鉄を含浸し消臭効果を高めた「SC-06HK」の2種類があります。

標準型脱硫装置の仕様

私たちの標準型脱硫装置には「循環型」と「汎用型」があります。

 

汎用型のフィルター交換は蓋の上部のボルトを外し、中からフィルターを引く抜くだけで交換可能。 

特殊な工具も技術も要りません。

 

フィルター交換/セット作業の動画

フィルター交換作業/セット作業の動画は下をクリックしてください。

PK-miniCフィルター交換

F-80Lフィルターセット

GC-320フィルター交換

8.使用上の注意

1.120℃以下で使用して下さい。
コルラインは基材の破損を防ぐため、120℃以下で使用してください。(丸形については70℃以下推奨。ネットの耐熱温度)
約240℃で溶融、変形、約380℃以上で燃焼の恐れがありますので、高い温度で使用する場合、使用前の試験をお勧めします。

2.乾燥しすぎに注意して下さい。
コルラインは低湿度状態で使用すると、十分な性能を発揮できません。相対湿度30%以上で使用してください。(相対湿度50%以上を推奨)
ドライガスを処理される場合は、ガスに適度の湿度を加えて使用することをお勧めします。
なお、乾燥により性能が低下したコルラインは、通常適度の湿り気を与えれば 性能は回復します。

3.水濡れに注意して下さい。
コルラインの表面に水がつくと、ガスが接触することを妨げるので 性能が低下します。ガス中の水滴・ミストはコルラインの前で除去してください。
なお、水濡れしたフィルターは通常乾燥で性能は回復します。

4.高濃度の硫化水素処理の場合は発熱に注意して下さい。
コルラインは主に酸化鉄と硫化水素の化学反応により、硫化水素を除去しています。高濃度の硫化水素を処理する場合、反応熱によりコルライン表面が高温になり、発火する場合があります。
連続使用については1,000ppm以下での使用を推奨しています。

5.空気(酸素)を含まないガスを処理する場合は注意してください。
コルラインは無酸素状態で硫化水素を処理し、フィルターの交換などで充填装置から取り出す際に空気に触れ発熱することにより、コルラインが燃えることがあるので注意して下さい。
発熱発火した場合は、コルラインを水に数日間十分に浸し安全を確認して廃棄処理して下さい。

6.コルライン充填装置は不燃材仕様にしてください。
コルラインを硫化水素の除去目的で使用される場合は、充填装置(ケーシング)は安全上不燃材(ステンレス等)を使い、付近に可燃物のない安全な場所に設置して下さい。
高濃度、大風量の硫化水素を処理する場合は、必要に応じ散水シャワーなどの設置をお勧めします。

7.使い始めは粉状の吸着材が少し飛散しますが、脱硫・脱臭性能に影響はありません。
コルラインは運搬や設置の振動により、基材から吸着材(主に酸化鉄)が脱落し、使い始めに脱落した吸着材が飛散する場合があります。
使い始めやフィルター交換時は空ふかしを10分程度することをお勧めします。

8.設計寿命について。

コルラインの寿命はコルラインの寿命はガスの濃度、風量、湿度、粉塵などの条件により設計時の寿命と異なる場合があります。
初めての使用の際は出口濃度を定期的に測定し、寿命を把握することをお勧めします。

9.ご使用後の廃棄は当該地区の廃棄物処理法規に準じて処分して下さい。