基盤の腐食は判りにくい

基盤の腐食は判り難い

腐食の様子の動画を数回撮影しています。その延長で基盤の腐食を撮影しようと考えましたが、失敗しました。それがこれです。
同じようにみえますが、高濃度(400ppm)の硫化水素ガスに10時間接触させた後です。銀片なら3時間もあればあれば真っ黒なのに。

ガス接触前

ガス接触後

冷静に考えると基盤の目立つ部分は銅や銀に比べて腐食しにくい材質だらけでした。
ICの足(リードと言うらしい)は鉄系合金若しくは銅合金らしいですが、色からすると鉄系っぽいですし、磁石にくっつくのでこの基盤のICのリードは鉄系です。鉄系は硫化水素で腐食しにくいです。次に全体に輝きを発しているのははんだ(腐食しにくい)です。だからパット見ると変わりません。

基盤の故障原因

基盤が腐食されにくいならなんで壊れるんだ!と思われるかもしれません。基盤の場合ショートによるものが多いそうです。例えば基盤のアップの写真(下)でいうと、矢印の2本の線は銅の膜で、電気が流れています。この銅の膜の線が硫化水素により、硫化銅になります。硫化銅になると、体積が増え、隣の線とくっついてしまい、電気が流れショートします。腐食を確認しようと思ったら、アップで見て線(銅の膜)がどうなっているかを確認する必要があります。
この基盤のように線の距離がある基盤だと少々腐食しても隣とくっつくことはないでしょうが、高性能な基盤や新しいになれば線の間隔も狭くなり、それだけ硫化水素に弱くなってしまいます。お客様の中には盤内の機器が古くなったので、新しいものに交換するとトラブルが増えたと仰るお客様もおられます。

 

基盤のアップ

はんだと銀の腐食撮影

はんだはスズと鉛からできています。環境から鉛フリーも出ていますが私たちが自分ではんだ付けするときのはんだはまだスズと鉛です。銀が入っている物があっても少量です。スズも鉛も硫化水素とは反応しにくいです。

基盤の撮影をするためにせっかく準備したので、はんだと銀でどれくらい反応が違うかを見てみようと思い撮影をしました。いつもの銀片の片面にはんだをつけ、一部折り返したサンプルを作り撮影しました。
折り返し部分(銀そのまま)は黒くなっていますが、それ以外(はんだ付け)は銀色のままです。今度は基盤と違って期待通りになりました。

ガス接触前

ガス接触後

PLCが壊れる インバータが壊れる など電磁部品が耐用年数(一部部品を除き10年くらいが一般的)より短い場合何か原因があるかもしれません。
一度腐食性ガスを疑ってみてはどうでしょうか?

硫化水素で困ったときはご連絡ください。