電子機器の腐食~測定

電子機器の腐食トラブル~測定

トラブル発生濃度

人が0.02ppm(20ppb)で硫化水素の臭いを感じだすのに対し、電子機器は0.003ppm(3ppb)程度から影響が出だします。つまり、何も臭わないのに硫化水素による腐食は発生する場合があります。
特に銀や銅などの金属に影響が大きく、プリント基板の短絡、コネクタの接続不良などのトラブルが発生します。

極低濃度硫化水素測定機選び

電子機器腐食対策で硫化水素濃度を知りたいとき、私たちは極低濃度の場合「JEROME」という測定機(分析機)で測定します。この機器、結構高額で簡単には買えません。
もっと安いものがないの?と相談されることがあったので、しらべていました。いろいろなメーカーが濃度測定機を出していて、測定範囲「0~20ppm」とか書いてあったりするのですが、この「0~」という言葉曲者で、1ppm以下が0と表示だったりする場合がとても多いです。
ほとんどの硫化水素濃度測定機は人体への影響がないことを確認するために作られていることが多いためです。電子機器は違います。硫化水素濃度が1ppmもあれば、明らかに電子機器への影響はあります。電子機器への影響の有無を見るのに、測定器を選ぶ場合は「Lowest Detection」「検出下限」が大事です。

勘違いしやすいのが、測定器表示が「0.00ppm」と出ている、だから「0.01ppm以下=10ppb以下」と思ってしまう場合。検出下限以下だから0.00と表示しているだけの場合があります。表示が「0.01ppm」単位でも、検出下限が「0.05ppm」の場合があります。表示が「1ppb」表示なのに下限が「10ppb」だったりする測定器もあります。
海外製の測定機で 日本の代理店に問い合わせてもちゃんと言葉が通じていないのか、「0ppb~測定できます!」といわれてしまい、メーカーのサイト(英文のページ)に行くと「検出下限」が書いてあったりします。

また、干渉ガス(測定値に影響をもたらすガス)も注意が必要です。中には干渉ガスが非常に多い測定機もあります。現場で測定する場合、他のガスも必ず混じっています。あまりに干渉ガスの多い場合は何を測っているのかわからない場合があるので注意してください。
「干渉ガスありません。」は嘘か通じていない可能性が高いので注意してください。測定値に影響をもたらすガス=干渉ガスではなく共存ガスと呼ばれていたりするかもしれません。

極低濃度の測定

実際に測定してみると、屋外で硫化水素濃度測定をおこなう場合、風向きで濃度が大きく変わります。風上に排出されている地点があれば当然濃度が急激に上がります。風向きが同じことなんてありません。屋内でも、人の出入りなどで大きく変わりますし、換気扇やサーキュレータ、場合によっては外の風が影響する場合もあります。他に、硫化水素を発生させる設備の稼働状態が大きく影響していたりします。排水や排気などにより離れた場所の設備の稼働が影響する場合などもあります。極低濃度の硫化水素測定は「数値が安定しない」というのが実感です。
私たちが測定した時に極低濃度や未検出だったとしても、連続測定をすると比較的高濃度の硫化水素が検出される時間があったりします。短時間での測定は、参考になる程度と理解していただければと思います。

じゃあ何が良いのか? 低濃度の測定の場合 金属片を測定地点に1か月 置き、腐食具合をみる(メーカーに出して分析してもらう)測定方法があります。それが一番現場にあっているのではないか?と最近は思います。1か月かかるので、その間の平均値的な値がでるはずです。
また、硫化水素以外の腐食性ガスの影響が大きかったとわかる場合もあります。

濃度まではわかりませんが、ファーストステップとして 銅片や銀片を硫化水素ガスの問題がありそうな部屋に貼ってみても良いかもしれません。銀も銅も腐食しない場合少なくとも硫化水素ではありません。

硫化水素で困ったときはご連絡ください。