硫化水素濃度と攪拌の影響

硫化水素を発生原因が液体の場合、攪拌されることで急激に濃度が上がり危険です。その一例です。

発生状況

廃液処理槽内にたまったスラッジをバキュームカーで吸引しており、そのバキュームカーの排気の臭いで周辺住民から苦情があったそうです。
試行錯誤しながら、バキュームカーの排気をスクラバーに通して処理していたそうですが、それでもダメということで、コルラインを使用していただきました。
コルラインは高濃度のガスを大量に流した場合発火する場合があります。そのため、事前に濃度測定をしに行きました。(約800ppm)発火しないだろう濃度で、実機に取り付け頂きました。
初めての作業時、コルラインが発火してしまいました。原因は高濃度の硫化水素を大量に流したためです。事前に濃度測定をしていたのに。。。なぜでしょう?

測定方法が原因

現場でコルラインが入っていた位置で再度濃度を測定。普段は使わない検知管「4H」~4,000ppmで測定しましたが、検知範囲オーバー。
急遽 2倍に希釈測定するも、オーバー。8,000ppm以上です。希釈して測定すると、2%(20,000ppm)以上であることが判りました。事前測定の25倍以上です。

なぜ、こんなに測定値の違いがでたのでしょう?
前回の測定方法を確認すると、入れ物に取っておいたスラッジを検知管で測定していたそうです。

測定方法が実際に沿っていなかったことが原因です。

入れ物に取ったスラッジはほとんど攪拌されていない状態です。
ですが、実機ではには吸引ホースやバキュームカー内で激しく攪拌されたあとのガスがコルラインを通ります。

このため濃度が大きく異なってしまいました。

攪拌による硫化水素濃度の違い

他に調べたいこともあったので実験をしました。

攪拌前の状態

約800ppm

ポリタンクにスラッジを入れわさわさと振ると

約2500ppm

3倍以上になりました

ポリタンクで振ったくらいで3倍まで跳ね上がるのですからバキュームカーで吸って25倍になっても不思議はありません。

バキュームカーでの攪拌は特別な状態だとしても、人が歩くことや、泥をスコップでかき出すなどの作業は日常でもあり得ます。事前測定で濃度が問題なくても作業することで、濃度が上がることがあります。事前測定を信じすぎず、作業中の測定もしてください。

硫化水素で困ったときはご連絡ください。