ファンモーターの故障

制御盤用ファンモーター

制御盤などでよく見るファンモーターが動かないということで、対応しました。現場では原因を調べずとりあえず交換しました。

帰社後、テスターで測るとどこかで断線していることが判りました。後日、ファンをメーカーへ調査にだすと、コイルの「腐食断線」という回答をもらいました。

「腐食断線」って初めて聞く言葉でした。「腐食性ガス」によってコイルが腐食し、断線するそうです。腐食により有効断面積が小さくなり、電圧に耐えられなくなるのでしょうか?

今回の現場は「硫化水素」がある可能性の高い環境で、かつ、アルミのボディ部分が腐食を受けていないので「腐食性ガス」=「硫化水素」だと思います。(塩素ガスなどの場合アルミも腐食します)

コイル

とりあえず、メーカーから帰ってきたファンを分解しました。

コイルの腐食とありますが、ぱっと見コイルはとてもきれいです。はんだ部分もきれいです。どこが腐食なの?と思います。

ですが、今見えているものを考えると、すべて腐食しにくい物ばかりです。「モーターコイル」は絶縁のため表面がコーティングされているので、腐食しにくいです。はんだも硫化水素では腐食しにくいです。鉄やアルミもおなじく腐食させないです。今見えているものではありませんが、他にも端子台なども腐食が見えにくいです。

だから、ぱっと見ても硫化水素の腐食は判りにくく、注意してみる必要があります。

アップでみると

コーティング無し&はんだ無しの部分はごく限られます。絶縁をはかして、はんだづけしている部分の近くをみると。。

細かい物が見えにくい年の人には厳しいサイズの線が切れています。

切れたあたりに硫化銅とおもわれる析出物が出てきています。

反対側の配線部分やローター部分も黒く変色していました。

制御盤内は適切な環境に

この例ではファンですが、同じようなことが他の機器でも起こります。測定機やPLCなどの基盤内が硫化水素が原因で故障することが多くあります。

電子情報産業協会の規格JETA IT-1004では0.01ppm(10ppb)以上は電子機器の設置には適さないとしています。0.003ppmから影響がでます。

少し機器の故障頻度が高いと感じたら一度硫化水素を疑ってみてはいかがでしょうか?

制御盤内は適切な環境に保つことで機器が長持ちし、安定した生産につながります。

一度盤内に銅片や銀片を置いてみて変色するようなら、腐食性ガスがあることが判ります。

社内の工程で「硫酸」を使っている場合や食品工場 製紙工場などの場合 硫化水素の可能性が高いです。

硫化水素で困ったときはご連絡ください。