腐食と湿度

腐食と湿度

腐食の代表に錆があります。鉄錆は鉄の酸化です。錆の防止には「湿度」が重要です。相対湿度60%くらいから錆は急激に増えるので注意が必要と言われています。工場などの部品置き場に除湿機を入れたりしている会社もあると思います。

先日、お客様に硫化水素の測定方法を聞かれたので、某チェッカーをお勧めしました。後日そのお客様に「腐食度合いは温度や湿度に依存するのではないのか?温度や湿度なしでどこまで正確に出るのか?」という質問をいただきました。「数値が○○~△△ppbと幅がある結果が出ることを伝え、精度についてはメーカーに確認してください。」と回答しましがた、少し気になったので湿度の関係について調べてみました。

ネットでしらべると「硫化水素ガス」については湿度の影響は比較的少なく、低湿度でも腐食はすすむそうです。同じ硫黄系のガス「亜硫酸ガス」は湿度の影響があり、低湿度では腐食が進まないらしいです。

湿度の影響をためしにやってみました

ためしにやってみよ~と思いました。

ネットで調べた、「低湿度ってどのくらいなの?」とか思いませんか?真面目に濃度を調整したり、時間がかかるのでざ~~っくりです。時間も短く比較できるように濃度高めで実験します。(銅片の腐食実験です)

とりあえず、低湿度側 相対湿度約9.5% 400ppm で試験してみました。

比較として高湿度側 相対湿度約60% 270ppm を一緒にやりました。

方法もざっくり ビーカーにガスのホースを入れるだけです。
このままでは硫化水素ガスが漏れるので写真にはありませんが、 スポット脱硫装置 で漏れを吸引しています。

低湿度では腐食しない っぽい

結果は右のとおりです。左のきれいなままが、低湿度。右の黒い銅片が高湿度です。

今回の実験環境では、低湿度では腐食を確認できませんでした。湿度の影響は明らかにあり、相対湿度60%は黒く表面が硫化銅になったのに対し、低湿度では変色腐食が目視で確認できません。

硫化水素腐食に湿度は影響します。

先にも書きましたが、実験時間が短時間 高濃度 低湿度です。一般空調程度の環境では湿度があまり影響しないのかもしれません。
今回の環境は 露点温度になおすと、-19℃くらいなので冷凍式のドライヤー+メンブレンドライヤーをとおして作る、特殊環境です。「ドライ環境では硫化水素腐食の影響は限定的」ということが判る程度の実験です。

硫化水素で困ったときはご連絡ください。