硫化水素による銅の腐食を確認する

硫化水素チェックカード

以前、「硫化水素チェックカード」と称して 銅片を貼り付けたカード(名刺サイズ)をお客様に配っていました。

もともとは四角い銅片が貼り付けてあるもので、腐食ガスの環境下に放置すると、銅片の真ん中部分(写真の黒い部分)だけが外気に触れ変色するが、周りの部分はテープで保護されているので、色が変わらない。そのため腐食性ガスのある環境では黒い丸が現れる。というものです。

お客様の現場で実際に設置してもらい、黒く色が変わったことで硫化水素を懸念され、ご連絡いただいた場合もありました。

今回もそんなお客様からのご連絡で、工場内の排水処理設備に置いた際に色が変わったとのことでした。

カードに「硫化水素が原因かも」と「かも」をつけているように、銅を腐食させるガスは「硫化水素」以外にもあります。排水処理設備で多いのが「塩素」ガスです。今回の現場も塩素系の薬剤も使われており、「塩素」ガスが発生している可能性もあります。

エネルギー分散型蛍光X線分析装置

他案件の分析で、「エネルギー分散型蛍光X線分析装置」(EDX)を使う予定があったので、ついでに分析にかけてみました。

「Cu」(銅)が約91% 「S」(硫黄)が9%と硫黄が入っていることが判りました。この結果から黒い部分は 銅と硫黄 硫化銅であることが判ります。

硫化銅を発生させるガス=硫化水素なので硫化水素が現場で発生していると推測できます。

今回はついでがあったのでEDXで分析してみましたが、実際に硫化水素かどうかを判断するのには色で判断が付きます。硫化水素で反応した場合「黒っぽく」なっていきます。塩素の場合「緑っぽい白」になっていきます。硫化水素による反応でも「白っぽくなる」と感じる人もいるので、文字にするとわかりにくいですが・・。

銅がどのように変色していくかは過去実験し、アップしていますので参照していただければと思います。(写真なので実際の見え方とは異なるかもしれません)

腐食が疑われるようでしたら弊社に一度ご相談ください。