硫化水素で鉄が錆びる

硫化鉄

「硫化水素で鉄が錆びる」ということをお客様から聞くことがあります。ですが、一般環境下では硫化水素は銀や銅と比べ鉄とは反応しにくいです。人に影響のない濃度ではほとんど硫化水素によって腐食されません。

また、硫化水素と鉄が反応すると「硫化鉄」ができます。「硫化鉄」は黒いです。一般的な赤錆の色とは異なります。

この写真は使用済みコルライン(左)と未使用(右)です。(100ppm以上ある高濃度の硫化水素で使った後です)

使用済みは未使用と比べ黒くなっていると思います。この黒くなる原因が「硫化鉄」です。

銀や銅と比較すると

試しに、銀や銅を比較してみました。400ppmの硫化水素+Air(加湿) を密閉容器にいれ放置しました。

鉄片はわざわざ買っても仕方ないので、メッキのワッシャです。(半分やすりでメッキを剥がしました)

左の銀片 右の銅片は黒っぽくなっています。
鉄のワッシャについては茶色の斑点ができています。(写真では黒色に見えますが現物は茶色です)

硫化鉄の色とは異なります。酸化したのでしょうか?

硫化水素で鉄が錆びる

硫化水素が直接 鉄を腐食するのではない、とは思います。
「硫化水素が硫酸になって・・」というのも聞いたことがあるのですが、硫化水素水は水に溶けやすいので硫化水素水溶液(弱酸性)になるらしく硫酸ではないらしいです。

硫化水素を含んだ湿ったガスが当たる部分のケーブルラックなどが異常なくらい錆びている(赤錆)現場は何度か見ています。(単に湿ったガスが当たったことで錆びたようには見えにくいい。)今回の試験でも錆が発生したっぽい。「硫化水素で鉄が錆びる」はあるように思います。私にはメカニズムはわかりませんが・・。

酸性環境なので錆びやすいのか?塗装に影響を及ぼすのか?

追記:

この写真は 同じワッシャでもう半分も削り、硫化水素が当たっていた側(右側)をマスキングして、加湿Airをいれて放置しました。加湿Airにしか触れていない左側部分も錆びてきていますが、硫化水素と接触した右側より錆びていないです。

硫化水素で困ったときはご連絡ください。