事例の概要
以前、お客様から伺ったトラブルです。
実験設備から発生する硫化水素を活性炭で処理している設備での出来事です。
・処理後の硫化水素濃度は常時モニタリング
・処理後ガスの硫化水素濃度が一定濃度を超えるとアラームが作動
・実験設備で硫化水素は「特定の温度条件でのみ発生する」想定
ところが、本来は硫化水素が出ないはずの温度条件で、排気側の硫化水素アラームが突然作動したそうです。
吸着方法が原因です
原因は活性炭が硫化水素を吐き出していたためと思われます。
一般的な活性炭は「コルライン」と違い「物理吸着」により、ガスを吸着します。「物理吸着」とは活性炭にある無数の微細な穴に対象物質を吸いつけて吸着することを言います。物理的に吸着しているだけで、対象物質はそのままです。そのため、温度変化や圧力変化で吸着していたものがはがれればまた、空気中に吐き出すことがあるそうです。(「添着活性炭」と呼ばれる薬品や金属、触媒などを添着したものは違います)
温度変化や圧力変化がある場合は気を付けたほうが良いようです。温度や使用方法を正確にメーカーに伝えられれば的確にアドバイスをしてくれていただろうと思います。
再現実験してみる
検索して見つけた結果だけを記載してもなぁということで、試しに、社内で再現してみようと思いました。
破砕活性炭(150㏄)に硫化水素(500ppm)を通してみました。ある程度負荷を加えるため、出口で200ppmを超えるまで断続的に硫化水素を含むガスを通しました。
いつもの実験スタイルの「測定用コルライン」を活性炭に置き換え硫化水素を吸着させていきました。
実験結果
そのまま出るか?
勝手に出てくることがあるのかを見るため、ほぼ密閉のボックス(制御盤)硫化水素を吸わせた活性炭を入れてみました。翌朝(15時間後くらい)にボックス内の濃度を測定しました。出ても低濃度だろうということで低濃度用測定器で測定しました。
結果・・・発生していませんでした。
(検出下限が10ppbなのでそれ以下と思われます)
空気中に再放出される原因が「温度や気圧の変化により」なので、何も変化がないので当然といえば当然でしょう。昼夜の寒暖差くらいでは再放出されないケースがあるとわかりました。
加熱
そのままでは出ませんでしたので、加熱してみました。(たまに使うホットプレートスターラーです)「天板を何℃にする」というような温度設定はできません。
結果・・
少し待つとなんだか臭くなってきました。硫化水素の臭いではありませんでしたが、硫化水素計(通常用)で測定すると1.1ppmくらいの硫化水素が発生しているようでした。
正確に硫化水素の発生を確認できたわけではありませんが、お客様から伺った「モニタリング(硫化水素計で測定)をして、硫化水素が発生した」という状態にはなったのでそこで中断しました。
(硫化水素計が反応した場合でも他ガスの影響で反応している可能性があります)
こちらのお客様は最終的に別の方法で処理されたようですが、活性炭だけにこだわらず、コルラインなどほかの処理剤を検討いただければと思います。
硫化水素で困ったときはご連絡ください。