この災害は、試掘井戸の噴出試験を行う作業中、井戸の排出口から噴出した硫化水素ガスを吸入して中毒にかかったものである。
試掘井戸を地下約2000メートルまで掘削し、井戸坑口に口元弁を取り付け、配管を接続して井戸から排出される蒸気および熱水を処理するための噴出試験設備を据え付けた。
災害が発生した日、試掘井戸の噴出試験に関係する8社の作業員、合計25名により、試掘井戸の噴出試験を行う作業を始めた。午前10時に、元請の社員からの噴出試験開始の指示を受けた下請けの作業責任者は、配下の作業員4名に対して試掘井戸の口元弁を開くように指示した。指示を受けた作業員は、口元弁の開閉用ハンドルを操作して口元弁を開く操作を始めた。
口元弁が開き始めたとき、「ゴー」という音とともに排気口から霧状のガスが噴出し、井戸坑口付近で異臭が感じられたので、近くにいた元請の社員の「全員退避」の呼びかけにより、坑口付近にいた作業員全員が退避した。しかし、退避の途中で、7名の作業員が噴出したガスに含まれた硫化水素ガスを吸入して中毒にかかった。