接触時間と濃度
硫化水素の吸着には時間がかかります。あっというまに消えるわけではありません。硫化水素はコルラインフィルターの表面に接している時間だけ、酸化鉄と反応します。そのため反応速度が遅いとその分長くフィルターに接している必要があります。
反応速度はガスの濃度などによって変わります。高校の化学で習った方もおられると思います(私は習わなかったですが)濃度が低いと反応時間が長く必要になります。
硫化水素の場合濃度の単位が「ppm」や「ppb」であらわされるように、1/100万 1/10億 ととても低濃度です。そのため接触時間が長く必要になります。
接触時間を長くとるには
接触時間を長くとるためには、「風量を下げる」「フィルターの容量を上げる」のどちらかが必要になります。
接触時間 = フィルター容量 / 風量
「風量を下げる」が可能ならそれでも良いですが、風量が決まっている場合がほとんどなので「フィルターの容量を上げる」が現実的でしょう。
次にフィルター容量を上げる場合「断面積を増やす」「長さを伸ばす」もしくはその両方になります。
それぞれの場合を考えます。
面積を増やす
面積を増やす場合、空気が均等に流れるか?という問題が出てきます。空気は抵抗の少ないところ、流れやすいところを流れます。
面積を増やすことでガスの入口に近い部分で多く流れ、反対に遠い部分では流れないということが生じやすくなります。
粒状の除去剤を使用する場合は、空気が均等に流れるように「パンチングメタル」などを入れるなど、空気を均等に流す工夫が必要となります。それでも均等にながれず、ガスの通り道ができてしまい、除去剤を混ぜるなどの作業が必要になる場合があります。
長さを伸ばす
長さを伸ばす場合、圧力損失が問題になってきます。圧力損失はフィルターの長さに比例してだけ大きくなります。圧力損失は下記の式で表されます。
ΔP = λ (l/d)(ρv^(2)/2)
また、長さを伸ばさず 断面積で接触時間を稼ぐ場合は風速も落ちるので(上の式でのv)がさがる 直径が大きくなるのでdが大きくなる 圧力損失という観点からすると断面積を増やす方が有利になります。
硫化水素除去装置の設計では
実機設計では「風量」「濃度」「期待寿命」などからフィルターの容量は確定します。そのため、「面積」と「長さ」を適切に調整しながら装置を設計する必要があります。
弊社のコルラインの場合はハニカム構造により「低い圧力損失」を実現しており、フィルタの厚みを厚くする(長さを伸ばす)ことが可能なためケーシング設計の自由度が高く、お客様の要望に応えやすいものとなっています。スペース的な問題で他社では対応できなかった場合でも対応できる場合があります。ぜひ一度ご相談ください。
硫化水素で困ったときはご連絡ください。