この災害は、石油精製プラントの脱硫装置の定修工事中に硫化水素ガスが大量に漏洩し、作業をしていた労働者46名が被災したものである。
災害が発生したのは、2号プラントで、ここには水添脱硫装置、硫化水素ガスから硫黄又は硫酸を回収するための硫黄回収装置、廃硫酸再生装置が設置されており、硫化水素ガスの流出は、脱硫工程エリア内において発生した。
災害発生当日は、午前9時頃から4名の作業者が前日に続き作業を行ない、予定の仕切弁、圧力指示調節弁上流の閉止板を取り外した。
一方、当日は、同じ脱硫工程エリア内で別の班による「計器用エア配管工事」が同時に行われており、午前9時30分頃、既設配管のエアを止めるため作業指揮者が「計器用エア供給元弁」であるバルブを閉止した。
その操作により、1号プラントから2号プラントの廃硫酸再生装置に向けて送給されていた硫化水素ガスが安全装置系統の配管に流入し、圧力指示調整弁の下流弁の取り外し部から大量に(約14分間に63立法メートル)漏洩し、付近でグラインダー仕上げをしていた下請作業員3名が死亡したほか、定修工事の作業に従事していた発注会社の職員、下請作業員等合わせて46名が硫化水素中毒に被災するという大惨事となった。