この災害は、収集した汚水をダンパー車から産業廃棄物処理施設の汚水槽にホースで投入する屋内作業場で発生したものである。
災害が発生した事業場は、昭和50年に設立され、産業廃棄物処理を業務としており、一日に75m3の汚水を処理することができる。下水処理施設の汚泥、工場の雑排水などを収集して、浄化処理後放流するまでを行う。
被災者の通常業務は、ダンプ車またはダンパー車で、汚水処理施設の汚泥、工場の雑排水を収集して、事業場の処理施設の投入口に投入するものである。
災害発生当日、被災者は10tダンプ車を用いて、広域下水処理施設の汚泥を引き取り、事業場の汚泥処理施設(脱水ケーキ投入室)に投入した後、引き続き、10tダンパー車に乗り換え、予定では同僚と2人でY社に出かけることになっていたが同僚の帰りが遅れたことから単独で汚水の回収に出かけた。
被災者は、Y社において家庭排水や食品工場、食堂、レストランの雑排水を一時的に貯蔵している屋外地下ピットから、10tの汚水の回収を終えて会社に戻った。
昼食後、被災者は引き取ってきた汚水を載せたダンパー車をバックで汚水処理室へ移動させ、汚水の臭気が周辺に漏れないよう同室と外部の境界に設けられたシャッターを完全に閉めた。
シャッターを閉じた後、ダンパー車後部にホースをつなぎ、投入槽の蓋をホイストで上方に引き上げて全開にし、開口部にホースを差し入れコックを手動で開き投入を開始したが、15分程したとき、激しい異臭を感じ意識を失って倒れた。