この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 作業中に作業場の酸素濃度・有毒ガスについての測定を行っていなかったこと
災害発生数日前、発注者の検査があった際に作業場の環境測定を行っていたこと、災害発生直前に水糸の撤収作業等が無事に行われたこと等の理由から作業中には環境測定を行わなかった。
2 酸欠の危険がある作業場において換気せず作業を行ったこと
災害発生当日マンホール上部に送風機を設置したが、止水プラグ取り外し作業中に送風機を使用せず作業場所の換気が行われなかった。
3 救助者が空気呼吸器等、適切な保護具を使用せず救助活動を行ったこと
救助者は空気呼吸器等、適切な保護具を着用していなかった。またそれらの準備もされていなかった。
4 第2種酸素欠乏危険作業に係る作業主任者の職務が遂行されていなかったこと
この災害においては関係者のなかに、第2種酸素欠乏危険作業主任者免許を所有していた者はいたが、当日の作業に関しては
(1) 作業開始前に作業の方法を決定し作業を指揮すること
(2) 送風機換気装置等の機能の点検を行うこと
(3) 保護具の使用状況を監視すること
等の職務を励行していなかった。
5 連絡体制に不備があったこと
この災害においては事前の安全対策、準備、検討等が不十分であったが、特に関係者の事前の打ち合わせおよびコミュニケーションが不足していた。