この災害は、地下3階にある雑排水処理施設の汚泥貯留槽を清掃する作業中、硫化水素を吸入したものである。
この汚泥貯留槽の汚泥の搬出および清掃を請け負った会社は、作業員5名をこの作業に従事させていた。
災害が発生した日、まず、汚泥貯留槽内の汚泥をバキュームカーに吸い上げた。次いで、槽内に溜まっている汚水を2時間ほど排水し、汚水が30cmぐらいになったとき、作業員Aが、槽内に入り壁面に付着した汚泥をデッキブラシでこすり落としホースで散水していたが、15分ほどで息苦しくなったので槽外に出た。
次に、作業員Bが槽内に入り同様の作業を行っていたところへ、作業員Aが再度槽内に入り、汚泥をこすり落としている作業員Bの背後からホースで散水していた。そして、5分ほど経過したとき、作業員Bが急に息苦しくなったと言って槽外に出ようとしてタラップに足をかけたが意識を失って倒れた。作業員Aも息苦しくなったが自力で槽外に出た。槽外にいた作業員Cが、ポータブルファンを持って槽内に入り、倒れていた作業員Bを槽外に救出した。作業員A、Bは救急車で病院に搬送され、硫化水素中毒と診断され、入院治療を受けた。