この災害は、紡績工場において工場廃水の処理のために設置された浄化槽の清掃作業中に発生したものである。
災害が発生した日、清掃業者の係員A、Bの2名は、工場の担当者Cの立ち会いのもとで浄化槽の清掃作業を始めた。
清掃作業は、先ず、Bが、浄化槽のマンホールの蓋を開けて、バブリングを停止した後、Aがバキュームカーのホースを浄化槽内に差し入れ、Bがバキュームカーのコック操作を行い、浄化槽内の廃水を仮置きのタンク内に移した。
浄化槽内を空にした後、Aは、木製のはしごを第1槽の槽内に降ろし、浄化槽内に入った。Bは、浄化槽マンホールからAの作業の様子をうかがっていた。
Aが浄化槽内部に入った直後、Bが浄化槽内に向かって「おーい、おーい」と叫んでいる様子を見た立会人Cは、Aが浄化槽内に墜落したものと思い、工場事務所に走り、救急車の手配を行い、同僚とともに浄化槽に戻ったところ、Bの姿が見えなくなっていた。
そこで、立会人Cが浄化槽内をのぞいたところ、2名とも浄化槽内で倒れているのを発見した。レスキュー隊により2名とも救出されたが、Aはすでに死亡しており、Bは病院へ収容後死亡した。