鮮魚加工の排水浄化施設のホッパー清掃中に硫化水素中毒

発生状況

この災害は、魚の新鮮加工排水等の浄化施設において、汚泥を投下するホッパーの汚れ落とし作業中に発生したものである。
 災害発生当日、被災者は、汚泥を引き取りにきたトラック運転手と2名で、汚泥搬出室に設置されたホッパーからトラックに汚泥を投下し積載する作業に従事していた。 
 汚泥の投下が終了した後、被災者は独りでトラック荷台に昇ってホッパーに付着した汚泥をかき落とす作業を開始したところ、汚泥とともにホッパーから漏出したガスを吸入して意識を失いトラック荷台上に倒れた。
 この時、室外で手待ち休息をとったトラック運転手が戻って来て発見し、事務所に連絡した。
 駆け付けた事務長は、倒れていた被災者を救出するためトラック荷台に上ったが、被災者同様意識がもうろうとして床上に倒れた。
 その後、両名は救急車で病院に運ばれて入院治療を受けたが、診断の結果は硫化水素中毒であった。

原因

この災害の原因としては、次のことが考えられる。
1 浄化施設で汚泥から硫化水素が発生していたこと
2 換気設備の能力が不足していたこと
3 空気呼吸器等を使用しなかったこと
4 安全衛生教育を行っていなかったこと

対策

 この災害は、魚の新鮮加工排水等の浄化施設において、汚泥を投下するホッパーの汚れ落とし作業中に発生したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。 
1 浄化施設について危険有害性の面から再検討を行うこと
2 安全衛生管理体制を整備し的確な管理を行うこと
3 作業場所の換気を十分に行うこと
4 作業マニュアルを作成すること
5 安全衛生教育を実施すること

厚生労働省 職場のあんぜんサイト より

コメント

この災害では排水から硫化水素が発生したものと思われます。作業者は人体に害がある濃度の硫化水素が発生しているとは思っていなかったのだと思います。
硫化水素は腐卵臭のある有毒ガスです。ゆで卵の匂いです。皆さんの作業現場でも臭いがするときは一度濃度測定をしてみてはいかがでしょうか?危険を事前に察知できるかもしれません。

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