この災害は、農地造成工事で造成した農地から出る白濁水の処理装置の改善工事中に発生したものである。
この造成した農地から白濁水が流れ出るとの苦情があったため、約半年前に汚水処理装置を設置したが、再び苦情が出たので改善工事を行なうことになり、災害はその準備段階で発生した。
災害発生当日、改造工事で他に転用する沈澱槽に続き中和槽タンク内部の汚水を吸い出すために、タンクの上部にある直径45センチメートルの開口部からホースを入れ、ほぼ満水状態の汚水を散水車で吸引を始めた。
タンクの上部から約1.3メートルのところまで吸引が終わったところで汚水がヘドロ状となり吸引が詰まり始めたので、農地造成工事を行なった会社の副社長は、沈殿槽の場合と同様ホースを調整しながら吸引しようと考え、タンクの開口部のところから設置されているタラップからタンクの中に入って行った。
副社長は、一度だけタンクの外に顔を出して深呼吸をしたものの、その直後にタンク内に倒れてしまった。
異変を聞きつけて、汚水処理装置の改造前の施工者である会社の社長が駆けつけ、副社長を救助しようとタンク内に入ったが、そのまま倒れてしまった。
同じく駆けつけた改造工事を請け負った会社の社長等が、バール等でタンクを打ち破って二人をタンクの外に引っ張り出したが二人はすでに死亡していた。