K清掃(株)は、下水道汚水管路、マンホール内の砂、汚泥等の清掃を主に行っている。
Y市下水道局から、「伏せ越し管」(法水管路の敷設延長上にガス管等の地下埋設物がある場合、さらに管路を深く埋設している下水道汚水管)に大量に堆積している汚泥等を清掃除去する作業を請け負った。災害の発生した下流側のマンホールは、図に示すとおりの構造であり、伏せ越し管は路面から約11mの深さにある。
災害発生当日、作業者Aら5人は、午前9時頃から換気ダクトをマンホール内中間付近まで降ろし、送風換気し、同時にピット(汚泥ため)にたまっていた汚水をポンプで排水した。
30分ほど待機したあと、送風機を停止し、A、B、C、Dの4人は下流側のマンホール内に入孔した(排水用ポンプは稼動させたままであった)。A、Bの2人は、伏せ越し管の汚泥等の堆積状況と汚水の排水状況を確認するため、先に中段スラブ(路面から約5mの深さにある踏場)から下に降りたが、すぐに、気分が悪くなったと言って順に中段スラブに上がってきた。中段スラブにいたC、Dの2人も慌ててマンホールの外に出ようとした。先頭で上がってきたDがステップの中ほどまで登った時、他の者は次々とマンホール内で倒れた。救助に入ったEも1mほど進んだ所で被災し、自力で脱出した。約30分後、消防士によって救出され、5人全員が直ちに病院に収容されたが、硫化水素中毒により3人が死亡し、2人が休業した。