本災害は、し尿処理場の脱臭設備の送風機を修理するために、ダクトを一部取り外して修理を行っていたところ、硫化水素がダクトから吹き出し、被災したものであり、一緒に作業を行っていた作業者も救出しようとして、同様に被災したものである。
このダクトは、し尿槽内に送風機で空気を送り(ブロア)、その空気を排気する(ファン)ためのもので、取り外した部分は排気側の空気吹出口であった。
災害発生当日は月曜日の朝で、し尿処理場は土、日が休日であった。
し尿処理場には修理を担当する作業者A、Bと修理発注者Cがいた。
A、Bは、地下1階で排気側のダクトを取り外し、送風機の修理作業を開始した。Cは地下1階の作業が行われているため、換気をしようと地上と通じた地下1階のシャッターを開け、地下2階へ行ってスイッチ盤を操作し、送風機のスイッチを入れた。
Aは、瞬間に気体が吹き出してきたので、送風機を止めるためスイッチのある所へ行こうとした。
振り返ると、一緒に作業をしていたBが倒れているので、救出しようと戻ったところ、Aも気体を吸い込み被災した。
吹き出した気体は、硫化水素を含む有毒な気体であった。