フィッシュミール工場における硫化水毒中毒

発生状況

本災害が発生したのは、工程の途中で、原料貯蔵タンクから魚の汁や洗浄に用いた汚水が側溝を通って流れ込む汚水ピットの内部である。 
 工場長と被災者が工場内で仕事をしていたが、工場長の呼び掛けに被災者が応答しないため捜したところ、通常開いていない汚水ピットの蓋が開いて、脚立ばしごが下ろされているのを不審に思い確認したところ、汚水ピットの内部で倒れていた被災者を発見したものである。
 なお、消防署が被災者を救出する前に、汚水ピットの内部の硫化水素の濃度を測定したところ、125ppmを超えていた。

原因

(1) 酸素欠乏危険作業主任者を選任しておらず、安全衛生管理体制が極めて不十分であること。 
(2) 作業者に硫化水素に関する安全衛生教育を実施していなかったこと。
(3) 硫化水素の発生のおそれのある箇所について、立入禁止の表示を行っていなかったこと。
(4) 空気呼吸器などの保護具を備え付けていなかったこと。

対策

(1) 本作業場においては硫化水素が発生するおそれがあることを、関係作業者に周知し、硫化水素中毒に関する知識等について特別の教育を実施すること。また、法定の資格を有する者の中から第2種酸素欠乏危険作業主任者を選任し、安全衛生管理体制を確立すること。 
(2) 硫化水素が発生するおそれがある箇所は、原則として立入り禁止とし、その旨を表示すること。
(3) 硫化水素が発生するおそれがある箇所に立ち入る際は、酸素濃度および硫化水素濃度を測定すること。また、当該測定に必要な、測定器を備え、容易に利用できるようにしておくこと。
(4) 硫化水素が発生するおそれがある箇所に立ち入る際は、換気を行うこと。なお、換気できない場合は、空気呼吸器等の保護具を備え、作業者に使用させること。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト より

コメント

 この災害でも作業者の認識不足が原因の一つにあがっています。ピット内作業の危険性を認識されていなかったようです。私自身も以前ピット内で設備の保全作業をする機会が幾度もありましたが、酸欠等危険の認識はほとんどなく、何の防護策もせずに入ってしまっていました。私以外の作業者も同じでした。今思えば、条件がそろえば危険な環境になる場所での作業だったと思います。
 対策(1)にもあるように関係作業者が危険であることを認識することが大切だと思います。

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