硫化水素の発生場所・発生条件・影響・悪臭・測定方法

硫化水素について重要なポイント4点

  1. 条件が整えば「どこにでも発生する可能性」があります。
  2. 条件が整えば「自然発生」します。
  3. 室内で発生していなくても、屋外から自然と侵入することがあります。
  4. まずは身近な機器のチェックから、早期対応が必須です。

硫化水素の発生場所

条件が整えば「どこにでも発生する可能性」があります。
温泉地、埋立地、排水処理場、研究室、し尿処理施設、清掃工場、石油精製場以外でも発生する可能性があります。

身近なものの硫化水素濃度を測定してみました。人体に影響のある濃度ではありませんが、電子機器に無害とは言えません。

【意外と知られていない、硫化水素注意場所】
工場
⇒排水処理設備がある場合や硫酸などを使っている場合は特に注意が必要です。

地下のあるビル
⇒地下に排水設備がある場合、地下の槽に排水を一時ためてからポンプアップして下水に流す場合が多いです。その場合、地下の排水槽内で硫化水素が発生する場合があります。

硫化水素の発生条件

条件が整えば「自然発生」します。
硫化水素は硫黄を含む有機化合物等が細菌によって還元・分解するときに自然発生します。皆さんの食卓に上がるハムにカビが生えている状態でもごく少量だが、硫化水素は発生しています。

発生要因の細菌の1つは自然界に普通に存在する「硫酸塩還元菌」
硫酸塩が硫酸塩還元菌によって分解される過程で硫化水素を生成、密閉空間の場合高濃度になる場合があるので特に注意が必要です。

「硫化水素が発生するようなモノは室内に何も無い」と思っていても、屋外からの硫化水素の侵入で室内設備はダメになることがあります。

硫化水素の人体への影響

硫化水素が怖いのは、一定濃度以上になると嗅覚麻痺で「においが感じなくなる」事にあり。においがしなくても、知らない間に濃度が上がり、長時間浴びる事が事故に繋がるケースも多いことです。

濃度別の影響・自覚症状
レベルは当社独自指標

・レベル1(濃度0.03ppm)
⇒微かににおいを感じる。

・レベル2(濃度35ppm)
⇒ 不快臭がする。

・レベル3(濃度2030ppm)
⇒ においによって濃度の増加を感じなくなる。
鼻粘膜に乾燥感や痛み、咳が出る場合も。

・レベル4(濃度300ppm以上)
⇒ 一定時間浴びると生命の危険。

・レベル5(濃度700ppm以上)
⇒ 意識障害、呼吸麻痺。最悪の場合、死に至る

硫化水素の電子機器への影響

硫化水素は微量であっても、パソコン、PLC、各種測定機等、あらゆる電子機器に腐食等の悪影響を及ぼします。また、近年、電子基板は高密度化が進んでおり、配線間の距離も近くなっています。そのため、新しい電子機器に変えた後、硫化水素の影響で故障することもあります。

電子機器に影響を及ぼす濃度:0.003ppmから
(人がにおいを感じる0.03ppmよりはるかに微量)

【電子機器が硫化水素に弱い理由】
電子基板を構成するが硫化水素に弱く、ショートしてしまうためです。

【”銅”が原因でショートする とは】

こちらは基盤のアップ写真。赤矢印の2本の線は銅の膜で電気が流れている。この銅が硫化水素により硫化銅になる。硫化銅になると、体積が増え隣の線とくっついてしまい電気の流れがショート。

【”銅”が硫化水素にいかに弱いか】
光沢ある銅片を硫化水素に接触させると、黒い硫化銅に変化。高濃度の場合、極短時間で黒くなっていきます。

硫化水素の抑制手順

  1. 発生源の特定と抑制
    一番効果が高いです。まずは、発生源で抑制することです。周辺への被害を防げられます。

  2. 硫化水素ガスとの遮断
    硫化水素ガスの発生源と、守りたいものを遮断すること事です。可能な限りの密閉をしてください。
  3. 硫化水素ガスの除去
    できうる限りのガスの遮断を行った後は、原因となっているガスの除去します。これは物理的に完全なガス遮断というのはできない場合が多いためです。
    ケーブルの引き込み口・ドアのわずかな隙間からの硫化水素ガスは「循環型脱硫装置」という装置で除去することが可能です。まずはご相談下さい。

「循環型脱硫装置」とは

制御盤や部屋内部の空気を本装置内のフィルターに通す事で硫化水素をろ過し、徐々に濃度を下げていく装置です。一度で取れないですが、フィルターの容量を少なくでき、比較的安価で硫化水素をとることができます。

硫化水素の測定方法

[よくある測定方法]

■一般的な簡易測定機を使った測定

一般的な簡易測定機は、人の安全のために使われるものがほとんどです。「0ppm~150ppm」などと表記されていますが、電気機器に影響を及ぼすような低濃度の硫化水素では「0pm」と表示されます。(1ppm未満が0ppmとなるものが多い)実際はもっと低濃度で影響がでるため、十分に測定できない場合が多いです。

■検知管を使った測定

こちらは一般的な簡易測定機よりはましですが、電子機器に影響を及ぼすような低濃度の硫化水素は十分に測定できません。(0.05ppm~)1回の測定にガスを吸引する時間が3分かかります。特に低濃度用は初め て使うと数値を読むのも難しいです。

■金属片を置いて腐食状況を目視、分析する測定

これが、腐食に対する測定では一番メジャーかもしれません。メーカー所定の金属片を30日測定したい場所に置く、その後自分で色見本と比較して濃度を推測します。またはメーカーへ返送し分析依頼します。但し、たった1カ所測定するだけで測定キット代だけで数千円程度必要であり、結果が出るまで、1カ月以上かかります。

■硫化水素濃度分析器を使った測定

短期測定が可能です。但し、高額である場合が多く、使用方法が複雑な場合が多いため、使用にあたっては測定プロに任せた方が良いです。

そのほか
※銅製品、コンセントプラグ、銅線等を目視する事で硫化水素の有無を判断できる場合もある。

測定は、まずプロにご相談下さい。

相談は無料ですまずはお電話でヒアリングさせていただき、測定の必要が無い場合などはそのようにお伝えしますので、無理に測定や対処を勧める事は致しませんのでご安心下さい。

硫化水素の被害事例

硫化水素は、そのにおいに気づかない状況下でも濃度を増し、取返しのつかない事故、電子機器の不具合等を引き起こします。厚生労働省「職場のあんぜんサイト」に掲載されていた事例や当社が把握する被害事例を記載しています。

厚生労働省発信の被害事例

※厚労省「職場のあんぜんサイト」から事例を抜粋しています。

当社の把握する被害事例

■工場にて、電気供給設備の機器壊れ、工場内設備が長期間止まりました。室内に外気を導入をしていたが、その外気に硫化水素が含まれており多くの設備がダメージを受けていました。

■工場内の排水処理設備で、排水からの硫化水素により、測定機は破損してしまう。

■温泉旅館内の火災報知設備が誤動作。原因は設備盤の硫化水素腐食によるものでした。

硫化水素とは(サマリー)

化学式H2S (硫黄と水素の無機化合物)
無色の気体。
におい一定の発生量で、得意な腐卵臭を放つ。
重さ空気よりわずかに重いため、地下などで濃度が高まりやすい。
可燃性通常人が居る環境では可燃性ではない。濃度(4.0~4.4%)では引火しやすい。
溶けやすさ空気や水に溶けやすい。
吸引経路呼吸で肺から吸入する事で曝露する。また外気を通して眼からも曝露する。
発生・天然物(火山ガス・鉱泉・温泉水・原油・天然ガス等)に含有。
・パンや段ボール等、オフィスにあるものからも発生する。
影響低濃度(腐卵臭がしていない濃度)であっても、電子機器に影響をおよぼす。
毒性
  • 中枢神経系、心臓血管系、呼吸器系に障害もたらす強い毒性。
  • 労働安全衛生法・名称等を通知すべき危険物及び有害物。大気汚染防止法特定物質。

当社が硫化水素対策を行った実績

当社は硫化水素除去フィルター及び装置「コルライン」の販売をしています。

様々な場所で使っていただいています。

下水処理場・排水処理施設 東京 / 千葉 / 静岡 / 広島 / 北海道 / 滋賀 / 長野 / 茨城 他  流入汚水より発生する下水臭を、脱臭フィルタ-「コルライン」充填の脱臭装置で除去。高濃度の硫化水素発生場所にも使用され、処理場内の臭気と環境対策に使用。電子機器腐食対策にも使用。
し尿中継所 奈良 / 兵庫県 他 し尿中継施設より発生するし尿臭の対策に脱硫・脱臭フィルター「コルライン」を設置し、嫌な臭いを取り除き悪臭公害問題を解決。
バキュームカー 岐阜 バキュ-ム車(し尿)より発生する高濃度(300~6000ppm)硫化水素等を脱硫フィルタ-「コルライン」で除去して住民への臭気対策や作業者の安全管理に活用。
総合病院(汚水処理施設) 全国各地 フィルターにガスを通すだけの簡単設置。
(メンテナンス時の仮設) 流入汚水より発生する下水臭を、脱臭フィルタ-「コルライン」充填の脱臭装置で除去。高濃度の硫化水素発生場所にも使用され、処理場内の臭気と環境対策に使用。電子機器腐食対策にも使用。
金属製品加工工場(水処理施設) 大阪 水処理施設より発生する臭気を除去するために、処理施設上部にガスを吸引するファン付脱臭装置を取付て周辺に漂う悪臭を除去。
薬品製造工場(汚水処理設備) 福島 / 茨城 / 東京 工場内汚水処理設備から発生する悪臭と硫化水素の除去に、排気口にコルラインを取付け無臭化対策に活用。
工場の化学処理施設(排水処理設備) 福島 / 茨城 / 愛知 / 山口 / 広島 他 工場の化学施設や排水処理設備及び排水ピット等から発生する硫化水素や臭気除去に利用。
自動車部品製造工場(排水処理設備) 富山 製造施設・排水処理設備から発生する硫化水素や臭気除去用に使用。
化学工場(排気設備) 茨城 / 兵庫 工場排気設備で発生し排出する硫化水素等の臭気ガスの除去に使用。
工場の排気処理(製造設備) 静岡 愛知 岐阜 滋賀 香川 青森 他 生産工程で発生する硫化水素や臭気を吸引し、コルラインを充填した脱硫・脱臭装置で無害・無臭化して大気放出。
食品工場(製造設備) 愛知 愛媛 工場の化学処理施設等で発生する硫化水素を、脱硫・脱臭フィルタ-「コルライン」で浄化排気し、公害対策や金属腐食防止に利用。
エネルギー関連会社 岡山 バイオガス処理で発生する硫化水素を「コルライン」で除去。
バイオガスプラント 宮城 / 鹿児島 / 静岡 / 熊本 バイオガスプラントの生物脱硫装置より排出される硫化水素の除去。
石油関連製品の製造工場 滋賀 精密機器・電気制御盤等が工場内の空気中に含まれる硫黄物質でトラブルが頻繁に発生するため空気循環装置(エアコン)のダクト排気口に硫化水素除去フィルターコルラインを取付け機器のトラブルを防ぐのに使用。
製油所(メンテナンス時の仮設) 宮城 / 鹿児島 / 静岡 / 熊本 定期的に行われるタンク清掃などで発生する硫化水素を、仮設装置として簡単に使用できる「コルライン」で脱硫し作業者の安全確保と近隣対策に活用されています。
家電製品工場の研究施設 滋賀 研究施設(室)で発生する悪臭を簡易脱臭装置「コルライン充填」で吸引により 無臭化して外気放出。
病院細胞検査機関 京都 検査時に用いる薬液臭の除去に「コルライン」脱臭装置で臭気を吸引し無臭化して屋外に排気。
大学や企業の研究室 長野 新潟 滋賀 大阪 実験で使用するガス及び薬液より発生する悪臭物質の除去に小型脱臭硫化水素除去装置で処理し外気放出。
研究施設 神奈川 研究所内の有害ガス除去用に小型硫化水素除去器を使用。
ごみ埋め立て処分場 滋賀 山形 島根 廃棄物を埋め立てた地中からの排気管に直接コルラインを取付けて硫化水素と臭気を除去し環境対策に使用。
ごみ処理場排水処理施設 滋賀 ゴミ処理場の汚水処理施設より発生する悪臭を、脱臭フィルタ-「コルライン」で除去。
廃棄食品処理工場 岐阜 バイオ処理施設から発生する臭気をコルライン充填の脱臭プラントで処理。
廃棄物処理場 北海道 / 福井 / 石川 / 宮城 / 富山 他 廃棄物処理場内の浸出水処理設備から発生する硫化水素等の悪臭除去に脱硫・脱臭装置を環境と臭気の対策に設置。
腐敗物処理施設 京都 屋内の不快臭が外部に放出される時の対策として、脱臭フィルタ-「コルライン」で近隣の環境配慮。
生ごみ処理機 東京 / 佐賀 業務用生ゴミ処理機の排気処理臭の除去に脱臭フィルタ-「コルライン」を活用。
養護施設 東京 高齢者養護施設の排気設備に脱臭フィルターを取付て周辺の臭気対策に使用。
マンション 広島 他 ディスポーザーシステムの脱臭対策に「コルライン」を活用。
テナントビル 東京 他 汚泥槽等からの臭気を「コルライン」による除去で、近隣対策とビル内の脱臭に活用。
通信中継基地 北海道 機器の腐食防止に「コルライン」で大気に含む硫化水素を除去し、クリーンなエアーを機器室内に送風して精密機器の保護に使用。
温泉宿泊施設 神奈川 硫黄泉による機器の腐食対策にコルラインを導入。
警察・消防関係 東京 大阪 硫化水素事故等の発生時に、小型簡易脱硫器で緊急対策用に使用。
地熱発電所 秋田 / 岩手 空気圧縮機に大気中の硫化水素を浄化して供給。
火力発電所 長崎 排水処理施設の嫌気処理に活用。